( 1 ) VPN接続とは?
「VPN」とは、「Virtual Private Network」の略で、直訳すると仮想の専用線という意味です。VPN接続とは、インターネットをはじめとするネットワーク上に、仮想的な専用ネットワークを構築して行う通信のことを指します。接続したい拠点にVPN対応のルータを設け、LANを接続することで、離れた場所から情報の共有が可能になります。その際にトンネリング、暗号化、認証という3つの手順を踏むことで、安全性が高まります。通信内容の読み取りやデータ改ざんなどのリスクを防ぎ、情報を守ることが可能です。
・トンネリング
データをやり取りするための仮想的なトンネルを作り、データを覆って干渉できなくするカプセル化によって安全な送受信を行います。
・暗号化
暗号化によって、データの盗聴や改ざんなどを防ぎ安全性を高めます。暗号化には暗号化と復号に同じ鍵を使う「秘密鍵(共通鍵)」と、違う鍵を使う「公開鍵」の2種類の方法があります。
・認証
第三者による成りすましなどを防ぐため、データの送信者と受信者が互いに正しい相手であることを確認します。
( 2 ) VPN接続の種類
VPN接続の方法は主に4つの種類があります。それぞれの特徴は以下の通りです。
インターネットVPN
インターネット回線を用いたVPN接続です。インターネット回線を用いるため、低コストでの回線構築ができます。ただし、使用しているインターネット環境によって通信速度や通信品質が異なり、他の接続方法より安全性が低くなることもあります。
IP-VPN
大手通信事業者が提供している閉域網※1を使用したネットワークです。通信業者と契約して閉域網を使うため暗号化が不要となり、高い安全性によって事故のリスクがなくなります。通信速度の安定性なども優れている反面、コストが割高になる場合もあります。
エントリーVPN
光回線などのブロードバンド回線により、インターネットを経由することなく閉域網に接続する、比較的コストが抑えられ、安全性の高い方式です。IP-VPNと違って帯域保証等がないため、時間帯や通信環境によって通信速度が遅くなる場合もあります。
広域イーサネット
離れた場所にあるLANをイーサネット※2インターフェースに接続することで、自由度の高いネットワークの構築が可能です。自由にカスタマイズできる一方で、サービスを提供する事業者によって提供地域や通信範囲が限られる、回線の費用が高くなるなどのデメリットもあります。
※1 限られた利用者のみが利用可能な広域通信網
※2 パソコンなどをケーブルで繋いで通信する有線LANの規格の一つ
( 3 ) VPN接続のメリット・デメリット
VPN接続のメリットとデメリットを以下にまとめました。それぞれを理解したうえで、導入には自社の業務や用途に合わせた検討が必要です。
メリット | デメリット | ||
---|---|---|---|
安全性 | データなどのやり取りを暗号化し、安全な通信経路を作る機能(トンネリング)が備わっているため、安全な環境下でインターネットを使用することができる。 | 情報漏洩などのリスク | 安全性が高いとはいえ、情報漏洩の危険性はゼロではない。VPNの設定ミスなどヒューマンエラーによって情報漏洩を起こす危険性を理解し、設定を行う必要がある。 |
多様な働き方に対応 | パソコンや、スマートフォン、タブレットなどのモバイル端末から社内ネットワークにアクセスすることが可能。距離に関係なくネットワークが構築でき、自宅などからも利用できるため、テレワークなど多様な働き方にも適している。 | 通信速度の低下 | インターネットVPNは公衆回線を使うため、時間帯によって回線の混雑などが原因で、通信速度が低下してしまうこともある。また、ルータに負荷がかかることによる速度低下も考えられる。 |
コスト削減 | VPNは仮想ネットワークを利用するため、初期費用や運用コストを抑えられる。距離によってコストがかかることもないため複数の拠点間同士や海外からの接続も可能。 | 導入に要する時間 | 機器の導入に加え、運用ルールや適用範囲などの設定が必要なため、導入までに時間を要することがある。 |
メリット |
---|
安全性 データなどのやり取りを暗号化し、安全な通信経路を作る機能(トンネリング)が備わっているため、安全な環境下でインターネットを使用することができる。 |
多様な働き方に対応 パソコンや、スマートフォン、タブレットなどのモバイル端末から社内ネットワークにアクセスすることが可能。距離に関係なくネットワークが構築でき、自宅などからも利用できるため、テレワークなど多様な働き方にも適している。 |
コスト削減 VPNは仮想ネットワークを利用するため、初期費用や運用コストを抑えられる。距離によってコストがかかることもないため複数の拠点間同士や海外からの接続も可能。 |
デメリット |
情報漏洩などのリスク 安全性が高いとはいえ、情報漏洩の危険性はゼロではない。VPNの設定ミスなどヒューマンエラーによって情報漏洩を起こす危険性を理解し、設定を行う必要がある。 |
通信速度の低下 インターネットVPNは公衆回線を使うため、時間帯によって回線の混雑などが原因で、通信速度が低下してしまうこともある。また、ルータに負荷がかかることによる速度低下も考えられる。 |
導入に要する時間 機器の導入に加え、運用ルールや適用範囲などの設定が必要なため、導入までに時間を要することがある。 |