エッジコンピューティング(エッジ処理)

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( 1 ) エッジコンピューティングとは?

エッジコンピューティングとは、情報端末などのデバイスに近い場所にサーバを設置し、処理を行う自律分散型の仕組みのことで、エッジ処理とも呼ばれます。エッジコンピューティングの「エッジ」は、端(はし)や縁(ふち)という意味の英単語で、ネットワークの境界部分や端末などが接続された末端部分(ポイント)のことを指します。
センサーなどの複数の端末から収集したデータを、エッジに配置したサーバに集約して処理を行うことにより、必要なデータのみを抽出することができます。これによって、送信するデータ容量が小さくなるため、通信コストを抑えることができ、ネットワークの負担や遅延を軽減します。

( 2 ) エッジコンピューティングが注目される背景

パソコンやスマートフォンだけでなく、あらゆる機器がネットワークによってつながるIoT(Internet of Things)の急速な普及により、モノ同士が情報をやり取りすることが可能になりました。そのため、従来型のクラウドコンピューティング(※1)ではネットワークへの負荷が増大し、通信の遅延が起きることが懸念されています。
例えば、工場の製造ラインで使用される機械の制御には、ミリ秒単位のレスポンスが必要です。また、車の自動運転ではカメラの映像データや走行データなどをリアルタイムで処理することが求められており、これらに対応するための技術としてエッジコンピューティングの活用が注目されています。このほかにも、気象予報システムや入退室管理システムなど、大量のデータを扱う幅広い分野で期待を集めています。

※1 クラウドコンピューティング:インターネットなどのネットワークを通じて、クラウド環境のサーバにデータを集約して処理を行う仕組み

( 3 ) エッジコンピューティングのメリット

エッジコンピューティングのメリット

ネットワークの負荷軽減やトラフィックの最適化

データの収集・蓄積を行う端末機器や、通信経路に近い場所で処理しつつ、必要なデータのみを送るため、通信量を抑えることが可能です。ネットワークの負荷を分散し、トラフィックを最適化するなどのメリットがあります。

低遅延によるリアルタイムなデータ処理

エッジコンピューティングでは、数ミリから数十ミリのタイムラグしか発生せず、低遅延によるリアルタイムなデータ処理が可能です。データの蓄積や管理をクラウドで、迅速なデータ処理をエッジコンピューティングで行うといった使い分けによる効率化が図れます。

通信コストの削減

ネットワークを介して大量のデータをサーバに転送すると、通信コストが高くなるケースがあります。クラウドサービスとエッジコンピューティングで対応を分けることにより、通信量を抑えコスト削減が見込めます。

リスク回避やセキュリティ強化

クラウドサービスが障害でダウンした際にも、端末機器に近いエリアで処理するエッジコンピューティングは故障の影響を受けにくく、ビジネス機会を損失するリスクを回避することができます。また、データを転送せずエッジ側で処理行うため、データのやり取りにおける情報漏洩リスクを抑えるセキュリティ面のメリットもあります。

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