生成AI

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( 1 ) 生成AIとは?

生成AIとは「ジェネレーティブAI(Generative AI)」とも呼ばれ、事前に収集・分析した膨大なデータを活用して、新たなコンテンツを自動生成する技術です。

生成AIの技術は驚異的な速さで進化を遂げており、日本だけでなく世界的に注目を集めています。生成できるデータは、テキスト・画像・動画・音声など多岐にわたり、近年では生成AIをビジネスや業務に導入する企業が増加しています。生成AIの活用は業務プロセスの効率化だけでなく、ビジネスモデルに大きな変革をもたらすと期待されています。

( 2 ) 従来のAIと生成AIの違い

従来のAIと生成AIの違いは「独自に新たなコンテンツを生成できるか」という点にあり、使用目的が大きく異なります。

従来のAI 生成AI
定義 事前に与えられたデータに基づいてルールやパターンを学習し、属するカテゴリを予測・特定して最適な答えを識別 大量のデータからパターンや関連性を学習し、そのデータを活用してオリジナルのデータを自動生成
使用目的 決められた行為を自動的に実行 新たなコンテンツの生成
主な機能 文字認識、画像認識、音声認識、物体認識、需要予測 など テキスト生成、画像生成、動画生成、音声生成 など
活用例 ・手書き文字の認識、データ化
・音声データのテキスト変換
・製造業での検品
・予測数値分析
・顔認証システムによる本人確認
・自動車の自動運転 など
・文章の作成、要約
・デザイン作成
・顔写真やキャラクターの生成
・動画編集、字幕生成
・音声データの読み上げ
・音声合成 など

( 3 ) 生成AIの活用例

生成AIは、与えられたテーマや指示に従って新しいコンテンツを生み出すため、用途に応じて幅広く活用されています。ここでは、活用例の一部を紹介します。

●文章の生成・要約

テキスト生成AIに要約したい文章と指示を入力すると、要点をコンパクトにまとめて文章を生成します。メールの文面や資料の作成などに活用でき、短時間で効率的に文章を作成できます。

●ソースコードの生成・デバック支援

テキスト生成AIでは、プログラムコードの生成が可能です。コードが動作しないときは、指示を与えることで誤りを検出できるため、デバッグ作業を効率的に行えます。

●広告コンテンツの生成

生成AIは、商品イメージやコンセプトを具体的に指示することで、独自性のあるコンテンツ案を短時間で生成できます。近年では広告やデザインの分野でも広く活用されており、アイデアの創出やクリエイティブな業務の効率化が期待できます。

〈活用例〉

  • キャッチコピーや広告記事の作成
  • 広告デザインの生成
  • 素材作成(Webサイト用の背景、アイコンなど)
  • 動画編集、字幕生成
  • 効果予測 など

●カスタマーサポートに活用

問い合わせ窓口として、生成AIを活用したチャットボットを導入する企業も増えています。従来、長文の問い合わせや情報不足があった場合、質問の意図を正しく認識することは困難でした。生成AIは問い合わせ内容を要約し、情報が不足している場合は再質問することで、適切な回答を導きやすくなり、問い合わせ途中での離脱防止や解決率の向上につながっています。

( 4 ) 生成AIの活用メリット・デメリット

生成AIの導入は、企業にとってさまざまな効果や利益をもたらす一方で、使い方によっては問題を引き起こすリスクもあります。

●メリット

業務効率化・労働時間の短縮

生成AIを活用することで、手作業で行っていた業務を効率化できます。例えば、議事録やインタビュー記事を作成する際、今までは録音を聞き返して文字入力していましたが、AIを使用することにより、音声データのテキスト化や原稿作成を行えます。

顧客満足度の向上

顧客対応やマーケティングを効率的に行う際にも生成AIは役立ちます。顧客の行動履歴や好みなどのデータを分析し、それぞれの顧客に適したコンテンツやサービスの生成・提供が可能となり、顧客満足度やリピート率の向上につながります。

新しいアイデアの創出

生成AIは与えられた指示に応じて、精度の高い革新的なコンテンツを生成します。そのため利用者に専門のスキルや知識がなくとも、イメージに合った成果物が得られます。クリエイターにとっては、思考パターンが異なるデザインや表現に触れることで創造力が刺激され、アイデアの幅を広げられます。

●デメリット

生成AIの依存によるスキルの低下

生成AIは指示を入力すると、それに応じた文章や画像などを瞬時に出力してくれます。便利であるがゆえに、依存しすぎてしまうと人間のクリエイティブなスキルや問題解決能力の低下を引き起こすことも考えられます。人間とAIの役割のバランスを保ちながら、活用することが大切です。

導入・運用にコストがかかる

生成AIのシステムを自社に導入する場合、規模や工程、AIの種類によっては多くの費用がかかる場合があります。事前に自社の規模や予算、導入後に見込まれる生産性向上、コスト削減など、中長期的な視点で費用対効果を検証することが重要です。

( 5 ) 生成AI活用時の注意点

生成AIを使用する際には注意しなければならない点があります。思わぬトラブルを起こすことのないよう、生成AIを正しく理解したうえで利用することが重要です。

正しい情報かチェックが必要

生成AIはインターネット上の膨大なデータから学習していますが、元となるデータが必ずしも正確とは限りません。出力結果には、不正確な情報や誤解が生じる情報が含まれている可能性があり、場合によっては信頼の失墜や社会的問題を引き起こすこともあるため、出力結果は必ず真偽を確かめる必要があります。

個人情報や機密情報を入力しない

入力データに個人情報や企業の機密情報が含まれていると、その情報が第三者の新たなコンテンツに利用され、情報漏洩を引き起こす可能性があります。生成AIを業務で使用する際は、データの暗号化やセキュリティ強化、従業員の教育など、適切な対策を講じてリスクの軽減を図ることが重要です。

著作権・商標権などの権利侵害に注意

画像やイラストなど生成AIによる成果物を利用する場合、既存の著作物との類似性の程度によっては、著作権侵害になるケースも考えられます。著作権法を管轄する文化庁が公表する資料「AIと著作権の関係について」などを確認し、検証するとよいでしょう。

参照:文化審議会著作権分科会法制度小委員会「AI と著作権に関する考え方について」(PDF)
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