ワーケーション

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( 1 ) ワーケーションとは?

ワーケーションとは「Work(仕事)」と「Vacation(休暇)」を組み合わせた造語で、普段の環境とは異なる場所で余暇を楽しみながら働くスタイルのことです。テレワークが浸透する中、時間と場所に縛られない柔軟で多様な働き方として、多くの企業がワーケーションの導入に関心を寄せています。

●ワーケーションの種類

休暇型 福利厚生型 有給休暇を活用してリゾート地や観光地などでテレワークを行う
業務型 地域課題解決型 地域関係者との交流や協働を通じて、地域課題の解決をめざす
合宿型 リゾート地など通常の業務環境とは違う場所で会議や研修等を行う
サテライトオフィス型 サテライトオフィスやシェアオフィスでテレワークを行う
参照:観光庁「新たな旅のスタイル」ワーケーション&ブレジャー

( 2 ) ワーケーションとテレワークの違い

ワーケーションとテレワークは、いずれも政府が推進する働き方改革の一環で、以下のような違いがあります。

ワーケーション テレワーク
言葉の意味 Work(仕事)+Vacation(休暇) tele(離れた場所)+work(働く)
趣旨 普段の職場や自宅とは異なる場所で、余暇を楽しみつつ仕事を行う新しい働き方・休み方 情報通信技術(ICT)を活用し、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方
勤務場所 リゾート地や観光地、キャンプ場、帰省先など、自由に選択可能 自宅など、比較的限定された場所
勤務形態・実施形態 【休暇型】福利厚生型【業務型】地域課題解決型、合宿型、サテライトオフィス型 在宅勤務、モバイルワーク、サテライトオフィス勤務

( 3 ) ワーケーションを導入するメリット

ワーケーションを導入することで得られる具体的なメリットを4つ紹介します。

●有給休暇の取得促進

ワーケーションは観光地や帰省先などで休暇を楽しみながら仕事ができます。滞在先で業務時間を確保することで長期滞在が可能となるため、有給休暇の取得促進につながります。

●従業員のモチベーション向上

ワーケーションでは滞在先での体験を通して感性が養われます。今までにないアイデアが生まれやすくなるなど、自己成長によって従業員のモチベーションが向上します。

●優秀な人材の確保

ワーケーションの導入は柔軟な働き方の推進として効果的な手段であり、企業の大きなアピールポイントです。採用力の強化や定着率改善により、優秀な人材確保に有効です。

●地域社会への貢献

ワーケーションは受入側となる地域にも多くの効果をもたらします。福利厚生面だけでなく、自治体との連携により地域振興の貢献という付加価値を生み出すことができます。

( 4 ) ワーケーションのデメリットおよび注意点

ワーケーションにはさまざまなメリットがある一方で、デメリットや注意すべき点もあります。

●セキュリティリスクが高まる

ワーケーションは滞在先で長期間業務する場合が多く、通常のテレワークと比べてパソコンやモバイル端末などの紛失・盗難、フリーWi-Fiの使用によるマルウェア感染といったセキュリティリスクが高まります。

●仕事と休暇の境界が曖昧になる

ワーケーションは余暇と仕事を両立するため、プライベートとの切り替えが難しくなります。特に旅行先などでは仕事に集中できず業務効率が悪くなり、かえってストレスを感じるケースもあります。

ワーケーションの導入の際に注意すべき点として、勤怠管理や業務の進捗状況の把握が挙げられます。従業員がさまざまな場所で仕事をするため、滞在場所の把握や勤務時間を事前に取り決めるなど、適切な対策を講じる必要があります。導入時には管理体制の整備をはじめ、必要に応じて就業規則や人事評価制度の見直しを行い、導入後も定期的に運用状況を分析・改善していくことが重要です。

( 5 ) ワーケーションの活用事例

活用事例として、早期からワーケーションを実施している企業の取り組みを紹介します。

【CASE:01】大手航空会社

働き方改革の一環として2017年から「休暇型」のワーケーションを導入。休暇中にテレワークを可能としたことで、長期休暇を取得する抵抗感や出社後の業務負担が軽減され、課題であった有給休暇の取得率改善につながりました。初年度は10人弱の利用でしたが、3年あまりで延べ400人以上に増加。現在は全国の自治体と連携した「合宿型」のワーケーション実施など、自己成長を促す取り組みも推進中です。

【CASE:02】大手コンサルティング会社

従業員のモチベーション維持と環境変化によるイノベーション創出を目的に、2017年から地域の古民家を活用したワーケーションを導入。サテライトオフィスとして利用できる古民家を社員に提供し、平日は通常業務、週末は休暇を取るという取り組みを実施しています。利用者は「地方課題に対する視野が広がった」「時間の使い方を見直すきっかけになった」など、新たな気づきや成長を実感しています。

【CASE:03】大手外資系メーカー

2016年から全従業員を対象に、働く時間と場所を自由に選べる制度を実施しています。2019年には複数の自治体と連携した「地域課題解決型」のワーケーションも導入。各地域の施設をコワーキングスペースとして無料で利用でき、地域課題を解決する活動に参加すると宿泊費が割引になります。参加者からは「集中して仕事ができた」「業務以外で仲間と接する機会ができて新鮮だった」など、高評価を得ています。

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