働き過ぎと言われる日本人。みなさんの会社でも長時間労働が当たり前になっていませんか?「そういえば…」と思い当たる方は、ぜひ今回の記事に注目してください。長時間労働の原因やリスクを探り、安全・快適な職場づくりを実現するための対策について解説します。
今回のお悩み
長時間労働の原因は何か。そもそも長時間労働の基準はあるのか。長時間労働のリスクとどのような対策を行えばよいか知りたい。
私が解説します!
長時間労働の基準や、長時間労働の主な原因について解説します。さらに企業が取り組むべき改善方法も紹介していきます。
( 1 ) 長時間労働の基準
長時間労働と一口に言っても、人によってとらえ方はまちまちです。日本の法律ではどのように定められているのでしょうか。
時間外労働に必要な「36(サブロク)協定」
労働基準法では、労働時間は原則として「1日8時間、1週40時間以内」と定められています。この法定労働時間を超えて、労働者に時間外労働(残業)をさせるには、同法第36条に基づく労使協定、いわゆる「36(サブロク)協定」の締結と、所轄労働基準監督署長への届出が必要です。
この36協定で定める時間外労働時間には、罰則付きの上限が設けられています。上限は、月45時間・年360時間で、臨時的な特別の事情がなければこれを超えることはできません。つまりこれが一つの「働き過ぎ」の目安になります。
なお臨時的な特別の事情があっても、年720時間、複数月平均80時間以内(休日労働を含む)、月100時間(休日労働を含む)を超えることはできません。また月45時間を超えることができるのは年間6カ月までです。
( 2 ) 長時間労働の原因とは?
「早く帰るに越したことはないけれど、どうしても残業は発生してしまう」という意見もあるでしょう。それには必ず、何らかの原因が存在しています。
●人手不足と業務過多
労働人口の減少は深刻な人手不足を招き、一人当たりの仕事量(負担)が増えるというのが典型的な長時間労働の原因です。
●ずさんな従業員管理
コミュニケーション不足などにより、上司(管理職)が従業員の動きをしっかり把握できていないことも長時間労働の原因になります。
●進まないデジタル化
「報・連・相」などの業務がアナログのままだと、手間と時間がかかり、結果として残業が常態化することが多いです。
●テレワークによる「見えない残業」
テレワークは便利な働き方ですが、勤怠管理の難しさから「見えない残業」が発生している可能性もあります。
●周りが働いていると帰りにくい
周りが働いていると自分だけ早くは帰りにくいというケースも見られます。これは日本人独特の感覚と言えるでしょう。
( 3 ) 長時間労働が引き起こすリスク
残業を仕方ないと言って放っておくと、会社だけでなく従業員にとっても、重大な事態を引き起こすことになりかねません。どのようなリスクが潜んでいるのでしょうか。
●体調やメンタルヘルスの不調
休めない状態が続くことで心身が疲弊すると、体調不良やメンタルヘルスの不調を引き起こし、最悪の場合は過労死に至る可能性もあります。
●生産性の低下
人間の集中力には限界があります。リフレッシュすることなく仕事を続けることでミスをしてしまい、かえって生産性の低下を招きます。
●残業代の増加
残業が増えれば、会社はそれだけ割増賃金を支払う必要があります。過度な残業は利益の減少につながる可能性があります。
●離職率の増加
残業による「プライベートな時間がない」という不満は離職率を上げ、慢性的な人手不足という負の連鎖を生み出します。
●企業イメージのダウン
SNSや掲示板などで「あの会社はブラックだ」と拡散されてしまうと会社のイメージ悪化や事業に悪影響を及ぼす可能性があります。また36協定に違反して罰則を科されれば、採用活動にも支障が出ます。
( 4 ) 長時間労働の改善方法
では、どうすれば長時間労働を解消できるのでしょうか。有効と考えられる5つの取り組みを紹介します。
●勤怠管理ができるツールの導入
まずは、すべての従業員の働き方を把握することから始めましょう。そのためには勤怠管理ができるツールを活用し、始業から終業、残業までを「見える化」することが大切です。
●デジタル化の推進
情報共有などがスムーズにできるツールを導入することで、業務効率化や従業員の働き方の見直しを行いましょう。
●ストレスチェックの実施
定期健診を行っている会社は多いと思いますが、あわせてメンタル面への配慮も必要です。ストレスチェックで心身ともに従業員の健康状態を把握しましょう。
●相談窓口の設置
長時間労働をはじめ、仕事に関する悩み・困り事を相談できる窓口の設置や、定期的に面談の機会を設けてコミュニケーションをとるのもお勧めです。
●ワークライフバランスの実現
ワークライフバランスとは、仕事とプライベートのバランスがとれた状態を指します。例えば有給休暇の積極的取得を呼びかけたり、フレックスタイムや時短勤務、テレワークを適切に取り入れることでワークライフバランスの実現や、企業のイメージアップ、人材確保にもつながる可能性があります。
( 5 ) まとめ
今回は、長時間労働の原因や、長時間労働が引き起こすリスク、その対策について紹介しました。従業員のみなさんが安全・快適に働ける職場づくりのために、参考にしていただければと思います。
記事でも触れたように、ワークライフバランスの実現は、安定経営を行うためには重要な取り組みです。ワークライフバランスについて詳しく解説したお役立ち資料も提供していますので、ぜひご覧ください。
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