生産性向上、人材不足の解消、働き方改革の推進、競争力の強化など、業務効率化にはさまざまなメリットがあります。一方で、「業務効率化を図りたいが、どこから着手すればいいのか?」という声も多いでしょう。今回は、業務効率化を進めるうえで、ヒントとなるアイデアを個人・企業別に紹介します。ぜひ、自社の業務効率化にお役立てください。

今回のお悩み
業務効率化のためのよいアイデアがあったら知りたい。ほかの企業の事例や、実施する際に気をつけるべきポイントについても教えてほしい。

私が解説します!
自社で実践できる業務効率化のアイデアを紹介します。他社の成功事例や、具体的な業務効率化の進め方も紹介しますので、参考にしてください。
目次
( 1 ) 業務効率化のアイデア10選
業務効率化は企業にとって重要な課題です。多くの企業でさまざまな取り組みが行われており、自社でも業務効率化を図りたいと考えている企業も多いでしょう。しかし、何をどこから始めればいいのか、よくわからないというケースも少なくありません。
業務効率化にはデジタル化が大きくかかわってきます。デジタル化とは、アナログ情報をデジタルデータに変換することで、これまで手作業で行っていたことをシステム化することなどが挙げられます。これらを踏まえ、業務効率化を図るためのアイデアを「個人でできるもの」と「企業で取り組むべきもの」に分けて紹介します。
【個人でできる業務効率化】
長時間労働の常態化や、あまり意味のない形式的な会議などを改善・是正することで、時間が有効に使えるようになります。その分、新しい業務にチャレンジしたり、自身のスキルアップを図ったりすることができます。
タスクのリスト化 | Doリスト」のように、やるべきタスクをリスト化し、優先順位をつけて取り組む。時間配分がしやすくなるとともに、提出期限なども徹底できる |
期限の設定 | 納期や期限が設けられていない場合でも、自分で期限を設けてスケジュールに沿って進行する。進捗確認が容易になり、急な仕事にも対応しやすくなる |
適度な休憩を取る | 仕事は時間をかければはかどるとは限らない。人間の集中力には限界があるため、適宜休憩を挟むことで効率的に業務を進めることができる |
デスク周りの整理 | デスクの上や周辺が整理されていると業務に必要な書類や資料が手に取りやすい。パソコンのデスクトップも案件ごとに整理しておくことで効率化が図れる |
情報共有の徹底 | ホウレンソウ(報告・連絡・相談)は情報共有の基本。良好なコミュニケーションはミスや属人化(※1)の抑止にもつながる |

【企業として取り組むべき業務効率化】
業務効率化によってコスト削減や生産性向上ができるだけでなく、従業員の満足度も上がります。それにより従業員エンゲージメント(※2)の向上、ワークライフバランス(※3)の実現などが期待できます。
ペーパーレス化の推進 | 紙ベースで行っていた業務をデジタルに移行するペーパーレス化は取り組みやすい業務効率化の一つ。印刷、郵送などにかかっていたコストも削減できる |
定型業務の自動化 | RPA(※4)ツールを活用し、これまで人が行っていたデータ集計などの定型業務を自動化する。時間短縮やミスの防止ができ、従業員の負担軽減にも有効 |
コミュニケーションツールの導入 | ビジネスチャットなどのコミュニケーションツールによって、外出先やテレワーク中でも情報共有でき、業務をスムーズに進行できるようになる |
テレワークの活用 | 多様な働き方の一つとしてテレワークを積極的に推進することで、従業員の負担が減り、生産性の向上が見込める。交通費、光熱費などのコストも削減できる |
業務のマニュアル化 | 社内ルールや業務フローを見直し、業務のマニュアル化および標準化を行う。独自の判断などによる業務のムラやミスをなくすことで業務効率化が図れる |
※3 ワークライフバランス:働くすべての人が仕事と生活(育児・趣味・休養など)の調和をとり、その両方を充実させる生き方のこと。
※4 RPA:「Robotic Process Automation」の略で、「業務プロセスの自動化」の意。パソコン上の作業を、ソフトウェアロボットが人の代わりに自動で行う。
( 2 ) 業務効率化のアイデア事例
実際に業務効率化を成功させた企業の事例を紹介します。自社での実践をイメージしながら、参考にしてください。
【事例1】紙の契約業務を電子化
ヘルスケア商品の開発・販売を手がける会社では、契約業務を電子化。それまで紙でやりとりしていた契約書、発注書などの書類をペーパーレス化しました。これにより月60時間以上かかっていた契約業務が15時間程度に大幅短縮され、大きな効果を上げています。
【事例2】既存ルールの見直し
セレクトショップを運営する会社では、既存のルールを見直し、「掃除は営業時間外に行う」など当たり前にやってきたことを変更。来店者数の少ない時間に分割して掃除を行うなどの工夫をした結果、販売戦略に時間を充てられるようになり、売上が5億円増加しました。
【事例3】デジタルツールの活用
通信事業を手がける会社では、業務効率化にデジタルツールを積極的に活用。テレワークの推進やWeb会議システムの導入で従業員の働き方が変わりました。その結果、時間外労働が13%減少するなど長時間労働が是正され、働き方改革を大きく推進できました。
業務効率化のためのデジタルツールとして、近年注目を集めているものに生成AIがあります。文書作成、市場分析、プログラミング、カスタマーサポートなどに活用されており、さまざまな業種の企業で活用が広がっています。
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( 3 ) 業務効率化のアイデアを実施する際のポイント
業務効率化のアイデアを実施するにあたって、気をつけておくべきポイントを紹介します。
課題を抽出する
自社の現状を把握することが最大のポイントです。業務フローはもちろん、職場環境、人間関係などにも目を配ることで、どこに「ムダ」「ムリ」「ムラ」があるかが可視化され、課題を抽出できます。
目的意識を持つ
漫然と取り組むのではなく、「残業時間をいつまでにこれだけ減らす」といった具体的な目的を設定します。目的に沿った計画を立案・実行し、定期的な検証とともに必要な改善を行うことで目的を着実に遂行できます。
優先順位を決める
アイデアを一気にやってしまおうとすると無理が生じ、すべてが中途半端になってしまう可能性があります。実現すべき優先順位を検討し、必要性の高いものやすぐに実行できることから取り組むことが重要です。
( 4 ) 業務効率化のアイデアの進め方
ここでは、実際に業務効率化を進める手順として、4つのステップを紹介します。
ステップ01:問題を抽出する
まずは現状を把握し、改善すべき問題点を抽出します。
ステップ02:改善計画を策定する
次に問題点の優先順位や必要なツールなどを検討し、改善計画を策定します。
ステップ03:計画を実行する
新たな業務プロセスやツールを導入し計画を実行します。必要に応じて従業員への研修なども行います。
ステップ04:効果を検証する
業務効率化の効果を定期的に検証します。評価には定量的なデータを用い、強化すべきポイントなども検討します。
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( 5 ) まとめ
今回は、業務効率化のアイデアを個人・企業別に紹介しました。業務効率化を成功させるには、自社の課題を洗い出し、必要性の高いものから対応していくことが大事です。
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