労働環境の改善方法8選!
企業での取り組み事例も紹介

従業員を取り巻く環境をより働きやすく改善する取り組みが、多くの企業で進められるようになりました。一方で、労働環境をどのように改善したらいいのか苦慮する企業も少なくないようです。労働環境が悪くなってしまうと、業務効率の低下などさまざまな弊害が出てきます。自社の労働環境を改善することは、このような悪影響を防ぐだけでなく、従業員の定着や企業イメージの向上にも有効です。この記事では、労働環境を改善する取り組みについて解説します。

今回のお悩み
なぜ労働環境が悪くなってしまうのかを理解し、自社の労働環境を改善したい。具体的に何をすればよいのか、他社はどのように取り組んでいるのかも知りたい。

私が解説します!
労働環境が悪くなる理由を知ったうえで働きやすい職場づくりに努めましょう。他社事例も紹介しますので、自社の取り組みにお役立てください。

( 1 ) 労働環境が悪くなってしまう原因

誰もが快適な環境で生き生きと働けることは、従業員だけでなく、企業にとっても望ましいことですが、労働環境の改善を必要とする企業があることも事実です。なぜ労働環境は悪くなってしまうのでしょうか。大きく3つの原因が考えられます。

①悪しき習慣

「上司がいるから帰りにくい」「有休を取るのが気まずい」。こうした不文律が悪しき習慣として根づいている職場は、往々にして長時間労働が常態化しています。

②人間関係

コミュニケーションが十分に取れていない職場、あるいはハラスメントがあっても周りが見て見ぬふりをするような職場は、メンタルヘルスに悪影響を及ぼします。

③慢性的な人手不足

人材が足りないと一人ひとりの負荷が大きくなり、モチベーションの低下や業務効率の低下を招きます。その結果、離職率が上昇し、人手はますます不足します。

( 2 ) 労働環境の改善のための取り組み

労働環境を改善するために必要な8つの取り組みを紹介します。できるものから順次取り入れてみましょう。

労働環境の改善のための取り組み

①従業員への調査

アンケートやインタビューによって従業員の意見を調査します。ただし面と向かっては言いにくいこともあるため、アンケートの記入は匿名にするなど工夫が必要です。相談できる窓口を常設するのもよいでしょう。

②作業環境の改善

室温、臭い、騒音といった要因に目を配り、多くの人が作業しやすい環境を整えることが重要です。オフィスの環境を見直し、リフレッシュルームの設置やフリーアドレス(※1)の導入など、より働きやすい職場づくりに取り組みましょう。

③多様な働き方の採用

社会情勢の変化に合わせてライフスタイルも多様化しています。テレワーク、フレックスタイム制、時短勤務など、多様な働き方を導入することで、個々の事情に合わせて選ぶことができ、従業員の満足度や定着率が高まります。

④メンタルヘルス対策

心の健康が損なわれたことによる労災認定の増加を受け、厚生労働省ではメンタルヘルス対策の実施を推進しています。「セルフケア」「ライン(直属の上司など)によるケア」「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」「事業場外資源によるケア」の4つのケアを継続的・計画的に行うことが重要としています。

⑤業務効率化ツールの導入

Web会議システム、クラウドサービス(※2)、ビジネスチャット(※3)など、さまざまなITツールを活用すれば業務を効率化できるだけでなく、スムーズな情報共有によって属人化(※4)を防ぐことができます。

⑥制度の活用促進

有給休暇や育休制度などの制度は活用してこそ意味があります。申請手続きが煩雑な場合は簡略化するなどの見直しを行い、有給取得促進期間の設定や、各種制度を上司が率先して利用するなど、従業員の活用を促しましょう。

⑦コミュニケーションの活性化

仕事は「人」対「人」、良質なコミュニケーションこそが基本です。1on1(ワン・オン・ワン)ミーティング(※5)による上司との関係構築をはじめ、チャットツールの導入、社内イベントの開催など、コミュニケーションを活発化する対策を講じましょう。

⑧多様な人材の活用

グローバル化、労働力人口減少などの時代性を踏まえて、自社の採用条件にも柔軟な変化が必要です。学歴を問わない人材、グローバル人材、高齢者などにも目を向けることで、多様性を重視する企業としてイメージアップにもつながります。

※1 フリーアドレス:固定席を持たず、ノートパソコンなどを活用して好きな席で働くワークスタイル。
※2 クラウドサービス:インターネット環境が整っていれば、いつでもどこでもファイルのアップデートやダウンロードができるサービス。
※3 ビジネスチャット:チャット機能が備わった、ビジネスのためのコミュニケーションツール。
※4 属人化:業務に関する情報や状況を担当者だけが把握している状態。
※5 1on1(ワン・オン・ワン)ミーティング:上司と部下が一対一で対話するミーティングのこと。

( 3 ) 労働環境改善に成功した事例

労働環境の改善に成功した3つの企業の取り組み事例を紹介します。

事例01:働き方の選択肢を増やし多様な働き方を実現

ある企業では長時間労働が課題となる中、従業員一人ひとりの人生の充実が企業の成長と捉え、働き方の選択肢を増やしました。テレワークは自宅だけでなく図書館やカフェなども可能とし、フルタイム勤務でも時間帯を選べるように制度を変更。従業員に寄り添った施策によって働きやすさが向上しました。

事例02:コミュニケーション促進による業務効率の改善

医療系の商社では、フロアごとに従業員が分散していることから業務効率が上がらず、コミュニケーション不足も課題となっていました。そこでオフィスを移転し、オフィスをワンフロアに変更。さらにフリーアドレスを導入して部署間の垣根を取り払い、コミュニケーションを促進する風通しのよい職場へと進化させました。

事例03:長期休暇を取りやすい体制の整備

金融サービスを展開する企業では、リフレッシュ休暇を設けていましたが、長期休暇は周りの迷惑になるので取りづらいといった風潮がありました。対策として、休暇取得促進のため取得者に対して報奨金を出す制度を設けました。さらに属人化を防ぐために、普段から業務の透明性を高め、誰が休んでも支障が出ない体制を整えています。

( 4 ) 労働環境改善に使える制度・助成金

労働環境を改善するにはコストもかかります。最後に、労働環境改善のために利用できる制度や補助金を紹介します。

名称 内容 参照先
働き方改革推進
支援助成金
労働時間の縮減、年次有給休暇の促進に向けた環境整備などに取り組む中小企業に対して、費用の一部を助成 厚生労働省
働き方改革特設サイト
両立支援等助成金 仕事と家庭を両立できる環境づくりに取り組む事業主を支援する制度 厚生労働省
両立支援等助成金
人材確保等
支援助成金
魅力ある職場づくりのために、労働環境の向上を図る事業主に対して助成 厚生労働省
人材確保等支援助成金

( 5 ) まとめ

ここまで、労働環境の改善方法を他社事例も交えながら解説してきました。労働環境の悪化は、従業員のモチベーションや業務効率の低下を招きます。そうならないためにも今回ご紹介した取り組み例などを参考にして、自社でできそうなものから対策を講じていきましょう。
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