LLM

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( 1 ) LLMとは?

LLM(Large Language Models:大規模言語モデル)とは、自然言語処理※1に特化した人工知能(AI)の一種です。膨大なテキストデータとディープラーニング(深層学習)を用いて構築された言語モデルで、従来の技術では実現が難しいとされていた「人間に近い自然な言語の生成・理解」を可能とした点が特徴です。

自然言語処理の精度には次の3つの要素が深く関わっています。
【データ量】コンピュータにインプットされる情報量
【計算量】コンピュータが処理する仕事量
【パラメータ量】確率計算を行うための係数の集合体の量

LLMはこれらの要素を大幅に増量(=大規模化)したことで、自然言語を用いたさまざまな処理を高い精度で行うことができます。人間の言語を理解し、文章生成や複数言語の翻訳、複雑な質問に対する回答など、幅広く活用できる言語モデルとして注目を集めています。

( 2 ) LLMと生成AIの違い

LLM生成AIは、いずれも人工知能の一種に分類されるAI技術です。

生成AIは、ユーザーから与えられた指示に基づき、テキストや画像、動画など、さまざまなデータを自動生成する“AI技術の総称”を指します。一方、LLMはAI技術の中でも「自然言語処理技術」に特化した言語モデルです。与えられたテキストに基づいて予測・応答を生成する能力を備えていることから、LLM生成AIの一部に位置付けられます。

( 3 ) LLMにできること

LLMは人間の言語を理解し、より高度なタスクに対応できます。ここではLLMで実現可能な一部を紹介します。

文章の作成・要約 ビジネス文書などの実務的な文章から、小説などのクリエイティブな文章まで、膨大なデータを瞬時に処理し、多様な分野の文章を生成。
複数の言語翻訳 日常会話から専門用語を含む文章まで、多言語間の翻訳が可能。単なる翻訳に加え、ニュアンスの違いを考慮した質の高い翻訳も実現。
キーワードの抽出 膨大なデータから必要な情報を瞬時に検索・分析でき、より正確な検索結果の表示や、効果的なキーワードの特定・抽出が可能。
質問への応答 複雑な質問に迅速かつ適切に回答できる能力により、カスタマーサポート業務などの多岐にわたる顧客対応の効率化が可能。

( 4 ) LLM活用時の注意点

LLMは、膨大なテキストデータを取り込み、学習することで精度を高めていくことができますが、出力精度は学習したデータに大きく左右されるため、活用方法を誤ると以下のような問題を生じる恐れがあります。

●倫理的な問題

学習するデータに誤りやバイアス(偏り)が含まれていた場合、誤った情報だけでなく、偏見や差別、著作権侵害など、不適切な文章を生成してしまう可能性があります。倫理性に配慮した適切なデータの使用に加え、さまざまな観点から性能を評価する必要があります。

●ハルシネーションのリスク

ハルシネーションとは、人工知能(AI)が「もっともらしい嘘」をつく現象で、事実と異なる情報や無関係な内容を生成してしまうことを意味します。LLMの性質を踏まえると完全に防ぐことは避けられないとものとされ、現時点ではハルシネーションのリスクを意識した検証が必要です。

●個人情報・機密情報の漏洩

利用者の入力データに個人情報や企業の機密情報が含まれていると、そのまま学習に使用されてしまいます。その情報が新たなコンテンツとして生成され、情報漏洩につながるリスクが生じます。これらは完全に防ぐことは難しいとされており、生成後のデータの確認には一層の注意が必要です。

( 5 ) LLMの活用事例

LLMを業務に導入することによって、生産性向上や業務効率化、担当者の負担軽減など多くのメリットが期待できます。ここでは、企業におけるLLMの具体的な活用事例を紹介します。

●カスタマーサポート業務

LLMは人間の言語を理解し自然な会話が可能なことから、多くの企業で「チャットボット」を活用した顧客対応サービスが導入されています。例えば、サイトのFAQページにLLMを用いたチャットボットを設置することで、顧客が入力した問い合わせにスピーディかつ的確に回答することができます。24時間365日、自動でさまざまな言語に対応できるため、顧客満足度の向上や業務の効率化が期待できます。

●市場調査・マーケティング戦略

顧客情報やアンケート結果をインプットすることで、消費者ニーズや市場動向、競合状況の分析を行うことができ、より効果的なマーケティング戦略が可能となります。さらに、ターゲット層に合わせたDMやコピーの作成、商品紹介記事のアイデア生成など、クリエイティブ制作にも役立てることができます。

●プログラム開発

アプリケーションやソフトウェアの開発にも、LLMが効果的に活用されています。コード生成やバグの検出、コード補完など、要件を指定するだけで自動生成されるため、開発時間を大幅に短縮でき、納期の短縮やコスト削減につなげることができます。

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