企業にも従業員にもメリット!
改正育児・介護休業法のポイントを解説(後編)

育児・介護休業法の改正により、育児休業を取り巻く環境が変化しています。企業や経営者にとって、従業員が育児休業を取りやすくするための取り組みには、どのような意味があるのでしょうか。前回は育児・介護休業法の概要や改正ポイントを解説しました。今回は、育児休業を取得するメリット、育児休業を取得しやすくするための環境整備について解説します。

今回のお悩み
「育児・介護休業法が改正されるが、男性社員の育休取得は義務化されるのだろうか?また、大切な従業員を手放さないために、経営者として何をするべきだろう?

私が解説します!
育児・介護休業法の改正は男性の育休取得を義務化するものではなく、取得しやすくするための改正です。今回は前編・後編の2回にわたって育児・介護休業法の概要や改正ポイント及び育児休業を取得しやすくするための環境整備について詳しく解説していきます!

リンク:企業にも従業員にもメリット!改正育児・介護休業法のポイントを解説(前編)はこちら

( 5 ) 育児休業を取得するメリット

両立支援等助成金を活用しよう

経営者としては、中小企業向けの支援にも注目しておきたいところです。「両立支援等助成金」は、職業生活と家庭生活が両立できる職場環境づくりをサポートする制度です。いずれも中小企業事業主のみを対象としています。

  • 出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)

男性労働者が育児休業を取得しやすい雇用環境整備や業務体制整備を行い、育児休業を取得した男性労働者が生じた事業主に支給されます。

  • 育児休業等支援コース

「育休復帰支援プラン」を作成し、プランに沿って労働者の円滑な育児休業の取得・職場復帰に取り組み、育児休業を取得した労働者が生じた中小企業事業主に支給されます。

このほかにも「介護離職防止支援コース」があります。詳細は厚生労働省のサイトでご確認ください。

参照:厚生労働省「2022年度 両立支援等助成金のご案内」 参照:厚生労働省「事業主の方への給付金のご案内」

子育てを通して視野が広がる

改正育児・介護休業法によって誰もが長く活躍できる環境がよりいっそう整えば、従業員と企業それぞれに大きなメリットがあります。従業員の立場から見れば、それだけ家庭と仕事が両立でき、ワーク・ライフ・バランス(※1)が充実することになります。このほかにもこんなメリットもあるでしょう。

  • パートナーとの絆が深まる
  • 子どもの成長に立ち会える
  • 自身の視野が広がる

子育てという経験を通して、自分自身も人間的に成長することができるのです。

企業にとってもメリットが大きい

企業の側から見れば、離職を防いで多様な人材が確保できるため、人手不足の解消につながります。生産年齢人口(15~64歳)の減少傾向が続き、中小企業には採用難が続く中で、今いる“人財”を手放さないという発想が大切です。そのためには、男女ともに取得しやすい会社の雰囲気づくりが欠かせません。
雰囲気づくりや施策に生かすためには、以下のような取り組みも必要です。

  • 従業員にアンケートを行い、リアルな声を集める
  • 育休取得を促進するプロジェクトチームを立ち上げる
  • 育休取得者の声をオープンに情報発信する

男性の育休取得はまだロールモデルが少ないため、まずは自社の従業員に向けて情報を積極的に発信していくことは大切です。

ここで、育児休業を取得した男性社員のリアルな声を紹介します。

〈無駄なく動けるようになった/Aさん(ハウスメーカー勤務)〉

男性の育休取得者が少ない中でも、自分が先駆者として経験してみようと思いました。取得後の変化で大きいのは、時間の使い方が変わったこと。いかに無駄なくできるかを考えて動くようになり、残業が大幅に減りました。また以前より周りを見て仕事ができるようになり、今まであまり話さなかった人とも話すようになりました。

一方で育休取得の難しさを伝える意見もあります。

〈職場の理解を得ることが重要/Bさん(専門商社勤務)〉

男性の育休取得がゼロの職場で、理解を得るのに苦労しました。育休中の補充はなく、同僚の負担が増えることを思うと取得は簡単ではありませんでしたが、事前に上司や同僚、人事にも相談し、引き継ぎなどを調整することでなんとか育休に入ることができました。大変な思いをしましたが、結果としては良かったと思っています。

働き方を見直すことから始めよう

従業員の働き方として見直しておきたいのは、属人化(※2)が起きていないかどうかです。属人化は休めない・休みにくいという状況を生み出します。待望の子どもが生まれ、しっかり育休を取って家族と過ごしたいのに、「自分が休んだら周りに迷惑がかかる」などと思ってしまいます。企業としては育休を取得しやすいよう、所属する部署など組織で仕事を回せる仕組みづくりをする必要があります。

ハラスメントを追放しよう

取得しやすい雰囲気づくりにおいて欠かせないのが、ハラスメントの追放です。特に大切なのは、管理職の意識を変えることです。男性従業員に対して「男のくせに育休を取るなんて」や「自分なら取得しない。君もそうすべきだ」と言うのも、立派なハラスメントです。絶対にあってはなりません。

※1 ワーク・ライフ・バランス:「仕事と生活の調和」。多様な働き方や生き方が選択でき、育児・介護・趣味・休養などの時間がしっかり確保できる状態を指す。
※2 属人化:業務の内容や進め方がその人にしかわからない状態になっていること。

( 6 ) 育児休業取得をスムーズにするテレワーク

環境整備の1つとしてテレワークの活用

育休を取りやすくする施策の一環として、有効な施策の1つがテレワーク環境の活用です。テレワークは育休へのスムーズな移行と、育休からのスムーズな復帰をサポートする、いわば「つなぎ」のような役割を果たすと考えられます。
いきなり長期休暇に入るのは、休むほうも不安なものです。そこで育休前にしばらくテレワーク期間を設け、業務を引き継ぎながら何かあればリモートで対応するといった状況をつくっておくと安心です。復帰するときにも、いきなりオフィスに出社するのではなく、テレワークで様子を見ながら、従来の働き方に戻していきます。テレワークを導入することで環境を激変させることなく、徐々に育休からの復帰が可能になります。

安全なテレワーク環境の構築に必要なもの

より安全なテレワーク環境を構築するために、経営者として気をつけておかなければならないことがあります。それはテレワークが増えれば増えるほど、情報セキュリティのリスクが高まります。会社のパソコンを外に持ち出したり、社員が個人の端末を仕事に使ったりすることで、サイバー攻撃の脅威も増加します。そこで、テレワークでも社内と同じセキュリティレベルを実現するには、VPN(※3)を構築することが望ましいです。そうすれば、以下のような働き方が可能になります。

  • どんな端末でも社外から簡単に接続できる
  • スマートフォンやタブレットを使って仕事ができる
  • 社内ネットワークにあるファイルを家から編集できる
育児休業取得をスムーズにするテレワーク

また、社内ネットワークをよりセキュアな状態にするためには、UTM(※4)の導入もあわせて検討しましょう。外部(インターネット)からの脅威や、内部からの不審な通信をブロックすることができます。

※3 VPN:「Virtual Private Network」の略。日本語では「仮想専用線」。特定の人だけが利用できる、文字通りプライベートネットワーク。
※4 UTM:「Unified Threat Management」の略。日本語では「統合脅威管理」。情報生キュリティに対応するさまざまな機能を一台に搭載し、集中管理を行う。

( 7 ) まとめ

今回は前編と後編の2回にわたって、改正育児・介護休業法に関すること、そして企業として取り組むべきことについて解説してきました。育児休業取得率が向上すれば、離職率が下がり、社員満足度が上がることはもちろん、「育休の取得推進に熱心に取り組んでいる会社だ」というイメージアップにもつながります。そのためにも、多様な働き方を支え、育休取得のハードルを下げる手段として、より安全なテレワーク環境を整えましょう。サクサでは簡単に導入できるサクサのVPNルータやUTMをはじめ、さまざまな情報セキュリティ対策ツールをご提案いたします。みなさまからのご相談・お問い合わせをお待ちしております。

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