テレワークの現状と
導入に向けた課題および対応策を徹底解説!

コロナ禍によって一気に加速したテレワーク。働き方改革の一環としてある程度定着した感もありますが、現在の実施率はどうなっているのでしょうか。今回は、気になるテレワーク実施率の最新情報をご紹介しながら、テレワーク導入に際して経営者としてぜひ知っておきたいポイントを詳しく解説します。

今回のお悩み
わが社でも、これまで見送ってきたテレワークの導入をそろそろ検討している。コロナ禍でテレワークを取り入れる企業が増えたが、実際の世の中の実施率が知りたい。また、導入するうえでどのようなことがポイントになるのだろうか。

私が解説します!
テレワークは便利な働き方ですが、気をつけなければならないポイントがいくつかあります。また、導入に際しては公的な相談窓口や支援制度もあるので、そうした役立つ情報もご紹介します。

( 1 ) 最新のテレワーク実施率について

最新のテレワーク実施率を把握するために、まずは内閣府が発表しているデータから見ていきましょう。
内閣府では、パンデミック(※1)後に「新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」を行ってきました。その最新の調査結果が2023年4月に発表されており、それによると全国のテレワーク実施率は30%、東京23区だけで見ると51.6%という結果が出ています。

また、テレワーク実施率を業種別に見てみると以下のようになります。

業種別のテレワーク実施率

こうしたデータからうかがえるのは、パソコン業務の多い仕事、そしてデジタル化の進んでいる業種ほどテレワーク実施率が高いのではないかということです。一方で、従業員数が多い会社ほどテレワーク実施率が高いという結果も出ています。

企業規模別のテレワーク実施率

過去の調査と比較してみると、全体的にテレワーク実施率は減少傾向にあるということは言えますが、従業員にとっては自由度が高く、会社にとってもコストが削減できるなどメリットの多い働き方であることも広く認知されてきているようです。また、働き方改革を推進するうえでも欠かせない取り組みのひとつでもあります。テレワークを取り入れるきっかけはパンデミックだったとしても、メリットを実感することでその後も継続しているという企業が多くを占めていると考えられます。

参照:内閣府「新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」 ※1 パンデミック:感染症の世界的な大流行。2020年3月11日世界保健機関(WHO)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)はパンデミックと見なせると表明。

( 2 ) 新型コロナ5類移行後のテレワーク実施状況

先ほど紹介した内閣府のデータは2023年3月に行われた調査結果ですが、次に、2023年7月に調査が行われた公益財団法人日本生産性本部の「第13回働く人の意識に関する調査」についても見てみましょう。

コロナ対策が大きな節目を迎えた今

2023年5月8日から新型コロナウイルス感染症の位置づけが、これまでの「新型インフルエンザ等感染症(2類相当)」から「5類感染症」になりました。それに伴い外出自粛など法律に基づいたさまざまな要請はなくなり、感染対策は個人や法人の判断に委ねられることになりました。

3年余り続いてきた国のコロナ対策は大きな節目を迎えた感がありますが、一方で新規感染者数は相変わらず増加傾向にあるといった報道も見受けられます。
そこで、2020年5月から定期的に調査を実施してきた公益財団法人日本生産性本部の最新レポートが、コロナ禍以降の働く人々の意識の変化を知るうえで参考になります。
これによるとテレワーク実施率は、5類移行前の2023年1月では16.8%であるのに対し、5類移行後の7月では15.5%となっています。
また「直近1週間(営業日ベース)の週当たり出勤日数」の質問に対し、「週3日以上」と答えた人の割合の推移も見てみましょう。

まん延防止等重点措置解除(2022年3月)後のテレワーク実施状況

ここでも減少傾向が見て取れますが、しかしそこまでの大きな低下ではなく、あくまで「微減」という印象にとどまっています。

継続には前向きな意見が多い

その一方で、自宅での勤務の満足度について「満足している」「どちらかと言えば満足している」の合計は、前回1月調査が過去最高の87.4%であったのに対し、今回7月調査は86.6%と微減。しかし「満足している」だけの回答を見ると、44.0%と過去最多です。
これは注目に値すべきことで、テレワークがコロナ禍であるなしにかかわらず多様な働き方の一つとして定着し、当初は低かった満足度も徐々に改善され、向上してきていることを表しています。

また「今後もテレワークを行いたいか」という質問に関しては、「そう思う」「どちらかと言えばそう思う」の合計が、前回の84.9%から86.4%へと増加し、これも過去最高となっています。

参照:公益財団法人日本生産性本部 第9回働く人の意識調査

( 3 ) あらためて理解しておきたいテレワークのメリット

ここで、あらためて考えておきたいのが、そもそも「テレワークとは何か」ということです。テレワークとは単に「家で仕事をする」あるいは「カフェ、コワーキングスペース(※2)で働く」ということではありません。多様な働き方を可能にする働き方改革の重要な取り組みのひとつであることは先にも述べましたが、同時に会社側から見れば、デジタル技術を活用し、仕事や業務プロセスの変革といったDXを実現するための大事な環境整備でもあると言えます。

テレワークの4つのメリット

テレワークにはさまざまなメリットがあります。導入を検討するにあたって、その代表的なものをあらためて理解しておきましょう。

多様な人材が確保できる

「優れた人材がなかなか採用できない」と悩む経営者の方は多いでしょう。今後も人材不足の傾向は続いていくと思われます。しかしテレワークは、地方や海外などオフィスから離れた場所にいる人材へのアプローチも可能にします。また、オフィス勤務だと育児や介護との両立が難しかった人も、活躍の幅が広がることになります。多様な人材の活躍は、新たなアイデアの創出やイノベーションに繋がります。

企業イメージがアップする

テレワークを導入していることや、それに伴う多様な人材の活用は働き方改革に取り組む企業という印象を与えるため、企業イメージの向上や会社としての付加価値がアップするということにもつながります。

時間とコストが削減できる

これまでは従業員が出社するのに時間もコストもかかっていました。また、オフィスを使うには諸々の経費も必要です。テレワークを導入することで、それらの交通費、移動費、維持費、設備費などが削減または節約できます。もちろんテレワーク導入にも費用はかかりますが、長い目で見れば削減・節約につながるケースが多いのです。

事業の継続性が確保できる

「まさか」と誰もが思ったパンデミックでも明らかなように、私たちは何が起きるかわからない先行きが不透明な時代を生きています。地震、豪雨などの災害にもいつ見舞われるかわかりません。そこでBCP対策(※3)としてテレワーク環境を整えておくことは非常に有効です。

※2 コワーキングスペース:テレワークをする従業員、個人事業主、起業家などが、個室ではなく共有型のオープンな空間で働くスタイルのスペース。
※3 BCP対策:Business Continuity Planの略。日本語で「事業継続計画」。非常事態が起きた際、被害をいかに最小限に抑え、事業をいかに継続させるかをあらかじめ考えておくこと。

( 4 ) テレワーク導入に関する相談・支援について

自社でもいよいよテレワークを導入しようと考えている経営者の方の中には、「まずはどこかに相談したい」という方も多いと思います。
そこで参考にしていただきたいのが、経済産業省がまとめている支援パンフレットです。「新型コロナウイルス感染症で影響を受ける事業者の皆様へ」と題したもので、以下のサイトから閲覧・ダウンロードができます。

参照:経済産業省「新型コロナウイルス感染症関連_支援策パンフレット」

このパンフレットでは、「資金繰り」「設備投資・販路開拓」「経営環境の整備」など、さまざまな側面からコロナ禍における事業者への支援が紹介されており、テレワークについても

  • テレワークに関する情報提供(導入事例や相談窓口の紹介)
  • テレワークにかかる専門家からの指導・助言
  • テレワーク設備導入にかかる費用の支援

といった、テレワークを導入する際に役立つ情報がわかりやすくまとめられています。とりわけ支援制度や導入補助に関する情報は、ぜひチェックしておきたいところです。

( 5 ) テレワーク導入の際に気をつけたいポイント

テレワークを導入するにあたっては経営者として気をつけておかなければならないポイントがいくつかあります。

  1. ①インターネット環境が整っているか
  2. ②セキュリティ対策が十分か
  3. ③コミュニケーション不足をどう補うか
  4. ④従業員のメンタルヘルスケア(※4)ができているか

このうち③と④に関しては、導入後運用する中で顕在化してくると考えられる問題ですが、ビジネスチャットの導入や定期的なストレスチェック実施計画の立案など、想定される問題に対して事前に対策を打っておくことが必要です。

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①はいわば前提条件ですが、一番の問題としては②のセキュリティ対策が重要なポイントです。もしセキュリティ対策が万全でなく、情報漏洩などの問題が起きてしまったら、「時すでに遅し」ということになってしまう危険性があります。

セキュリティ面の課題

テレワークにおけるセキュリティ面の課題は、以下の2つに大別できます。

パソコンなどの社外への持ち出し

オフィス外にパソコンやタブレット型端末を持ち出して使用する機会が増えるテレワークでは、社内での業務に比べてウイルス感染や情報漏洩などのリスクが高まります。

社外のネットワーク環境の利用

テレワークでは、個人のパソコンやネットワーク環境を利用することもあります。しかしそれらはオフィスに比べてセキュリティが十分でないことが多いため、パソコンなどの社外持ち出し同様にサイバーセキュリティリスクが高くなります。

セキュリティ課題への対応策

では、どうすれば社外でも場所を選ばず、安心して働けるのでしょうか。さまざまなセキュリティソフトやツールを導入するのも解決策の一つではありますが、作業の煩雑さや使用方法の習得といった手間がかかることは否めません。
しかし、たった一台のツールを導入することで、これらの課題をカバーできる解決策があります。それがUTM(※5)という選択です。UTMは、外部からの不正アクセスやウイルス侵入を防ぎ、また感染後のウイルス拡散や情報漏洩も防ぐなど、さまざまな機能をオール・イン・ワンで備えています。
「それは社内だけの話では?」という声が聞こえてきそうですが、実は多くのUTMがオプションとしてテレワークにも対応しています。ここでは、サクサのUTM「SS7000II」を例にとって、具体的な対応策を紹介しましょう。

エンドポイントへのセキュリティ対策

エンドポイントとは、パソコン、スマートフォンなど、末端の機器のことです。それらへのセキュリティ対策として、高いウイルス検出率を誇るセキュリティソフト「ESET」を採用。未知のマルウェア(※6)も早期検出し、駆除します。

社外でも社内同様のセキュリティ環境に

社内ネットワークに直接接続し、VPN(※7)環境を簡単に構築する「リモートコネクト」によって、テレワークでもオフィス同様のセキュリティ環境を実現。社内のIT資産がそのまま使えることはもちろん、UTM経由でのインターネット接続も可能になります。

従業員の意識向上を図ろう

最後に、UTMというセキュリティシステムの導入とあわせて、ぜひ経営者の方に実践してほしいことがあります。それは従業員のみなさんに、セキュリティに関する高い意識付けを行うことです。そのためには、セミナーなどの社内教育を定期的に開くことが効果的です。全員集まるのが難しければ、各人が在宅でセキュリティについて学べるeラーニング(※8)を活用するのもいいでしょう。こうして安全・安心なテレワーク環境を、しっかり整えていただきたいと思います。

※4 メンタルヘルスケア:働くすべての人が健やかに、生き生きと働けるよう気配り・援助をすること。また、そのような活動がスムーズに行える仕組みづくり。
※5 UTM:Unified Threat Managementの略。日本語で「統合脅威管理」。複数のセキュリティ機能を一元化し、あらゆるセキュリティ管理を包括的に行う。
※6 マルウェア:不正かつ有害な動きを行う、悪意あるプログラムの総称。日々新しいマルウェアが作られ続けている。
※7 VPN:Virtual Private Networkの略。日本語で「仮想専用線」。特定の人だけが利用できる専用のネットワークのこと。
※8 eラーニング:情報技術を活用した学習。パソコン、タブレット、スマートフォンなどを使い、インターネットを利用して学ぶ。

( 6 ) まとめ

今回は、テレワークの現状と、導入に向けた課題および対応策について解説してきました。一体どれくらいの会社がテレワークを行っているのか、自社でもテレワークを取り入れて業務を効率化したいという経営者のみなさんの参考になれば幸いです。
テレワークを導入することで、働き方改革に真摯に取り組んでいる企業というイメージを持たれます。また、テレワークの導入には万全のセキュリティ対策が欠かせないため、信用できる企業というイメージも持たれます。そうやって従業員からも世間からも「よい会社だ」と思われることで、会社の価値・ブランド力は向上していきます。ぜひ、そうなれるようセキュアなテレワーク環境を実現しましょう。

導入に際しては、記事内でご紹介したように公的な支援制度や相談窓口などもご活用いただければと思います。
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