詳しく知りたい!中小企業におけるUTMの必要性とは?
セキュリティ対策における効果やメリット・デメリットを解説!

サイバー攻撃情報漏洩など、企業はさまざまなネットワーク上のリスクにさらされています。そうした脅威からオフィスを守ってくれるツールとしてよく耳にするのがUTMです。今回は「本当に役立つのか?」などその有効性に疑問を感じているみなさまに対して、UTMについて詳しく解説していきます。

今回のお悩み
自社のセキュリティ対策が不足しており、昨今のニュースを見て対策が必要だと感じている。サイバー攻撃を防ぐにはUTMが有効と聞くが、効果や必要性に疑問があり、実際にUTMを導入した際の効果について知りたい。

私が解説します!
ネットワークにおけるセキュリティリスクを回避するには、どのような選択がベストなのか、経営者として気になるのは当然のことだと思います。そこで今回はUTMの必要性、メリットやデメリット、導入ポイントなどについてもご紹介します。

( 1 ) UTMとは?

ネットワーク上には多くの脅威が存在しており、マルウェア不正アクセスなどのサイバー攻撃が社会問題になっています。
本来こうした脅威に対応するには、ファイアウォール(※1)、IDS/IPS(※2)などさまざまな手法を駆使しなければなりません。しかしそれらを個別に導入するのは、コストや手間の面から考えても非効率的です。また複数のセキュリティツールを並行して運用すると、相性の悪いものが出てくる可能性もあり、結果的に機能を十分に生かせないことも考えられます。そこで注目されるのが、UTMという選択肢です。

UTMとは?

あらゆる脅威から会社を守るUTM

UTMとは「Unified Threat Management」の略で、日本語では「統合脅威管理」と訳されます。一台にさまざまなセキュリティ機能を搭載しているため、トータルでサイバー攻撃などの脅威から会社を守ることができるツールです。
例えばUTMでは以下のようなことができます。

  • 不正アクセスやウイルスの侵入を防ぐ
  • スパムメール・迷惑メールを検知する
  • DoS攻撃(※3)などのネットワーク攻撃を防ぐ

UTMが選ばれる理由

UTMは一台で複数のセキュリティ対策ができる大変効率のよいツールと言えます。容易に一元管理できるため、手間が大幅に軽減されること、コストが比較的安いことも魅力です。つまりUTMの導入によって手間とコストをかけることなく、質の高いセキュリティ対策が可能になります。

※1 ファイアウォール:直訳すると「防火壁」。ネットワーク通信において、その通信を許可または拒否することで外部からの脅威に備える仕組み。
※2  IDS/IPS :IDSは「Intrusion Detection System」の略で、日本語では「侵入検知システム」と言い、不正アクセスの検知・通知を行う。IPSは「Intrusion Prevention System」の略で、日本語では「侵入防御システム」と言い、不正アクセスを防御する役割も果たす。
※3  DoS攻撃:DoSは「Denial of Services」の略。大量または不正なデータを送りつけて相手のシステムを正常に稼働できない状態にするサイバー攻撃の一種。

( 2 ) UTMは内部に潜む脅威にも有効

前項では外部からの脅威に対してUTMが有効であることを述べましたが、同時にUTMは内部に潜むさまざまな脅威にも対応しています。
UTMゲートウェイ(※4)に設置することで、「入ってくる」ものだけでなく「出ていくもの」もしっかり監視することができるのです。

情報漏洩を防ぐ

サイバー攻撃者によるセキュリティ突破の手口は巧妙化しているため、従業員に悪気がなくてもうっかりマルウェアに感染してしまうケースも考えられます。それを防ぐには、Webフィルタリング機能が有効です。この機能によって社内ネットワークから外部の有害サイトへの接続を遮断するほか、業務とは関係のないWebサイトへのアクセスもブロックします。
こうして不注意による情報漏洩も防ぐことができます。

万が一の場合にも対応

もしウイルスなどに感染してパソコンが乗っ取られると、外部のWebサーバへの攻撃や、迷惑メール送信の「踏み台」として利用されるリスクが出てきます。そうした内部機器からの不正アクセスを防ぐことができるのもUTMの特徴です。
ファイルを添付したりメールを送信したりする際に、ウイルスを検知することでウイルスの拡散を防ぎます。

※4 ゲートウェイ:日本語では「玄関」「入り口」の意。通信手段の異なるネットワークを中継する機能を持つ。

( 3 ) UTMのメリット・デメリット

UTMのメリット:一台でさまざまなセキュリティ対策が可能

UTMの導入メリットは「さまざまなネットワークセキュリティの課題に一台で対応できる」ということです。
日々巧妙化するネットワーク上の脅威から会社を守るためには、膨大な手間とコストを要します。実際、いくつものセキュリティツールを導入して多層防御を行うとなると、専任の部署や担当者を置かなければなりません。中小企業にとっては、コストやリソースの面からも実現が難しいでしょう。
こうした課題に対して、UTMはオール・イン・ワンで対応可能かつ、高いセキュリティと低コストで応えてくれます。ゲートウェイに設置するだけで、既存のネットワーク構成を変更する必要もありません。また、セキュリティパッチ(※5)やウイルス定義ファイルを自動で更新してくれるため、ダウンロードや更新などの手間も省けます。

UTMのデメリット:ネットワーク外を含め、全てのセキュリティ脅威には対応できない

一方、UTMにはデメリットもあります。それは、UTMの主な役割が監視にあるということです。しかし、監視の目をかいくぐる侵入者は皆無ではなく、脅威は思いがけないところに潜んでいます。例えば社外でパソコンを使っていた際にウイルスに感染し、社内ネットワークに接続することで被害が拡大することもあるでしょう。また、USBメモリのようなネットワークとは関係ないところからウイルスが入ってくることもあります。
それらに対しては、感染後の対応策もしっかりできるツールや、オプションとしてエンドポイントセキュリティ(※6)にも対応できる、あるいはVPN(※7)環境を構築することでテレワークにも対応できる、といったことが可能なツールもあります。適切な選択を行うことで、より安全・安心な環境を整えることが可能になります。

優れたUTMとは?

UTMとひと口に言っても、いろいろなアプライアンス(機器)があります。優れたUTMとはどのようなものかを考えてみましょう。

〈最新のセキュアなネットワーク環境を実現できる〉

ウイルスに感染すると、データの破損、機密情報や顧客リストなどの情報漏洩につながるおそれがあります。定義ファイルを定期的に更新し、常に最新のセキュアなネットワーク環境を実現することが必須です。

〈ウイルス感染後の拡散を食い止められる〉

先ほども触れたように、社外でパソコンを使っていた際にウイルスに感染するということも起こり得ます。そこで、異常な通信をしているパソコンを検知し、ネットワークから遮断するなど、ウイルス拡散を防ぐ機能も備わっていることが重要です。

※5 セキュリティパッチ:OSやソフトウェアの脆弱性が見つかった際に、製造元から配布される更新プログラム。インストールすることで脆弱性を解消する。
※6 エンドポイントセキュリティ:パソコン、スマートフォンなど、末端の機器に対するセキュリティのこと。
※7 VPN:Virtual Private Networkの略。日本語で「仮想専用線」。特定の人だけが利用できる専用のネットワーク。

( 4 ) UTM導入の必要性がある企業とは?

では、どのような企業がUTM導入の必要性が高いのかを見ていきましょう。UTMの導入を検討する際の参考にしてください。

〈セキュリティ担当者がいない〉

情報システムの部門がない、社内エンジニアがいないといった「セキュリティ担当者不在」の会社は思いのほか多いのではないでしょうか。こうした企業は、手間をかけずに総合的なセキュリティ対策ができるUTMの必要性が高い企業と言えます。

〈経営規模が小さい〉

経営規模の小さい会社は、セキュリティ対策に大きなコストをかけることも負担になってしまいます。しかしまったくセキュリティ対策を講じないわけにはいきません。そんな企業には、導入コストだけでなく運用コストも抑えられるUTMがおすすめです。

〈顧客情報が多い・知的財産がある〉

多くの顧客情報を取り扱う企業にとって、顧客情報は必ず守らなければならない重要な資産です。UTMのような強固なセキュリティ対策の導入を急ぐ必要があるでしょう。また特許などの知的財産が競争力の源泉になっている企業にも同じことが言えます。

〈すぐにセキュリティ対策を強化したい〉

「すぐにでも何とかしたい」と考えている企業には、UTMの導入が向いています。ウイルスソフトを入れている程度の対策のみで社内ネットワークを運用している企業は、早急に検討することをおすすめします。

中小企業こそUTMの導入が必要

近年の傾向として、サイバー攻撃者はいきなり大企業を狙わず、その取引先である中小企業を狙うケースが増えています。中小企業はセキュリティ対策に十分なコストや人手をかけられないため、セキュリティ対策が大手よりも手薄ではないかとサイバー攻撃者は考えるのです。
その意味では、中小企業こそUTMの導入が必要とも言えます。取引先を持たない企業はありませんから、UTMは中小企業にとってベストなセキュリティツールといっても過言ではないでしょう。

UTM導入のポイント

UTMの導入に際しては、以下のような項目を検討しましょう。

●サポート体制の確かなものを選ぶ

販売元のサポート体制がしっかりしていれば、社内に専門知識がなくても、万が一のことが起きたときでも迅速にトラブルに対処することができます。

●自社に合ったものを選ぶ

自社に必要な機能がすべて入っているか、自社の規模に応じたコストであるか、などをチェックしたうえで選定することが大切です。

●使いやすいものを選ぶ

「使いやすさ」や「わかりやすさ」もポイントです。画面に表示される言葉や用語が専門的でわかりづらいUTMはおすすめできません。

●耐久性のあるものを選ぶ

耐久性があり、障害に強いことも重要です。UTMは一台であらゆるセキュリティ対策を行うため、問題が生じるとすべてのセキュリティが脆弱になってしまう可能性もあります。

( 5 ) 多様化するサイバー攻撃への対応策

新しいマルウェアは、1日に100万個作られているとも言われます。2022年も、ランサムウェア(※8)による被害、標的型攻撃による機密情報の窃取など、サイバー攻撃は数が増えるだけでなく、多様化しています。
近年は「Emotet(エモテット)」と呼ばれる感染力の強いマルウェアが、世界を震撼させたニュースもありました。こうした脅威に対して、誰かが常に監視の目を光らせておく必要があり、その役割をUTMが担います。つまりUTMは企業にとって、頼もしいセキュリティ担当者になります。

以下の記事では、Emotetに対するUTMの有効性を、サクサの「SS7000Ⅲ」を例にとって紹介しています。あわせてご参照ください。

リンク:再流行のマルウェア「Emotet」とは?猛威を振るう脅威への対策を紹介します – SAXA-DX Navi | サクサグループ

心強いサイバー保険サービス

みなさんはサイバー保険というものをご存じでしょうか。サイバー保険に加入しておくと、サイバー攻撃にあったときのさまざまな損害に備えることができます。
注目したいことは、このサイバー保険が標準で付いたUTMがあることです。「SS7000Ⅲ」の場合、無料の「PCウイルス駆除サービス」を実施したのにウイルスが駆除できない際には、ウイルス感染による情報漏洩の損害賠償、システムの復旧費用として、年間最大50万円が補償されます。詳しくは以下の記事をご覧ください。

リンク:もしものサイバー攻撃に備えて!サイバー保険でできるリスク対策とは? – SAXA-DX Navi | サクサグループ

このように情報システムの担当者を配置しなくても、あらゆる情報セキュリティリスクに対して一台でトータルサポートができるのがUTMです。
「通信速度が遅くなってしまうのでは?」とか、「セキュリティに詳しくないから、導入後も不安だ」といった心配の声もあるようですが、「SS7000Ⅲ」で言えば、高速スループット(高速通信)のままセキュリティを確保することができるため、業務の生産性が落ちることはありません。また、迅速丁寧なサポート体制があるため、導入後に心配する必要はありません。

「UTMは本当に効果があるのか?」への回答

もちろん、UTMも万能とは言えません。しかし、UTMを導入することで、リスクへの防御率はかなり高くなる、ということは確実に言えます。サイバー攻撃者は手を替え品を替え、さまざまな攻撃を仕掛けてきます。それらの脅威に総合的かつ効率的に対応するには、UTMがベストな選択であるということは言えるでしょう。また、UTM一台でさまざまなセキュリティ対策に対応できるため、専任のIT担当者がいない場合でも、最新の脅威に対応することができます。

UTMは本当に有効なのか?」という疑問が生まれる理由としては、見えない場所にUTMを設置することが多いことも挙げられます。つまり稼働状態がわかりにくいため、そのように思われてしまうことがあります。そんな疑問に応えるためには稼働状態の「可視化」が必要です。「SS7000Ⅲ」を例にとれば、専用のWebページでUTMの稼働状態がわかりやすく表示されます。例えば、スパムメールやウイルス検知といったさまざまな脅威に対して、種別ごとに検知状況を計測できるなどセキュリティ状態及び脅威への対応を視覚的に把握できる機器を選ぶことが大切です。

※8 ランサムウェア:コンピュータの機能をロックしたり、データを暗号化したりして、身代金(ランサム)を要求するウイルスのこと。

( 6 ) まとめ

今回は、UTMの必要性についてあらためて考えるとともに、どんな企業に向いているか、メリット・デメリットなどを詳しく解説してきました。「UTMの導入効果を知りたい」という経営者のみなさんの参考になれば幸いです。
セキュリティリスクは巧妙化・多様化しています。また、リスクは外部からやってくるだけでなく内部にも潜んでいます。そんなとき不正な動きをしっかり見張ってくれる頼もしい存在が、UTMです。UTMは単に便利なツールというだけでなく、社内の情報システムの安全を担う重要なビジネスパートナーと言ってもいいでしょう。サイバー攻撃、ウイルス感染、情報漏洩といったリスクに備え、会社や社員や顧客、取引先を守ることで、企業の信頼度の向上につなげることができます。
製品情報については、こちらのサイトもぜひご覧ください。

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