今回のお悩み
近年、全国各地で大雨や台風の被害が増えている。自社もいつ被害にあうかは分からないため、災害に備えた対策は必要だと感じているが十分にできていない。どのような観点でどう進めていけばよいのか。
私が解説します!
近年の異常気象は、私たちの暮らしにさまざまな影響を与えています。それはビジネスにおいても例外ではありません。会社として台風などの異常気象にどのように備えればよいのか、従業員の安全を確保しながら円滑に事業を継続させるには、どのような対策が必要なのか気になっている経営者の方も多いのではないでしょうか。今回は、企業が台風などの自然災害リスクに備えてできることや、従業員を守るために取り組んでおくべき対策について解説します。
( 1 ) 異常気象による安全配慮への高まり
異常気象による事業リスク
もともと日本は自然災害の多い国と言われてきましたが、近年は台風、大雪、酷暑などの異常気象が生活に深刻な影響をもたらしています。内閣府の防災情報ページでは、「気象庁の観測によると、1日の降水量が200ミリ以上の大雨を観測した日数は、1901年以降の統計期間において有意な増加傾向にあり、その最初の30年と直近の30年とを比較すると、約1.6倍に増加している(全国51の観測地点)」と述べられています。
参照:内閣府_令和2年版「防災白書|特集 第1章 第1節 1-1 令和元年8月の前線に伴う大雨災害まずは自然災害の中でも発生頻度の高い台風を例にとり、企業にとってどのようなリスクがあるのか具体的に紹介します。
〈オフィスが被害にあう〉
浸水や強風によってオフィス自体がダメージを受けることも考えられます。業務に使う機器や書類もダメになれば、事業の継続が難しくなってしまいます。
〈誰も出勤できなくなる〉
暴風雨によって外出することさえままならない状況も起こり得ます。最近は公共交通機関も安全のため運行を休止することを多く、出勤できなければ当然、業務は遂行できなくなります。
労働者の安全を守る義務
従業員は出社すべきか、自宅待機か判断に迷う場合があります。その際、会社側が出社を強制することで、万が一、従業員が被害にあう等の事態が起きてしまったら、その企業は安全配慮義務に違反したと判断される可能性さえ出てくるのです。まずは自分の安全を優先させるなど、会社は労働者の安全を守る義務があります。
安全配慮義務とは読んで字のごとく、企業が従業員の健康と安全に配慮する義務のことです。労働契約法の第5条には、「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」と定められています。
参照:厚生労働省「労働契約法のあらまし」
その結果、損害賠償が生じるようなことになれば、事業の継続はおろか、企業の存続にかかわる問題に発展します。ほかの従業員や周りからの不満が噴出し、誹謗中傷も含めたコメントがインターネットやSNSを通じて拡散されるかもしれません。そうなれば企業のイメージは大幅にダウンし、社会的信用は失墜します。
まずは、経営者が台風などの異常気象に対して他人事と呑気に構えず、自分たちの地域、そして会社や自身にも災害が降りかかってくる可能性はあるということを肝に銘じなければなりません。
( 2 ) 台風被害への備え・対策
いざというときのために
では、台風被害に対して、企業はどのような備えと対策を行えばよいのでしょうか。経営の視点として重要な観点は「事業の継続」と「従業員の安全確保」です。以下は台風被害への具体的な対策です。普段から着手できることも多いので、ぜひ参考にしていただければと思います。
〈事業継続のための対策〉
台風は地震や噴火のような予測が難しい災害に比べて、天気予報などである程度予測ができます。状況に応じて、以下の対策を事前にやっておきましょう。
- 浸水が予想されるところに土嚢や水嚢を設置する(オフィスが1階、自社ビルの場合)
- 窓などに耐風補強をしておく
- 重要な機器や書類はできるだけ上のフロアや高いところに移動
- 重要なデータはクラウドに保存する
このほか、BCP(※3)を策定して、いざというときはテレワークを活用することなどを明記しておくことも重要です。
〈従業員の安全を確保するための対策〉
- 防災訓練などを通して社員にも高い意識づけを行う
- 非常時の対応について就業規則をあらかじめ決めておく
- 出社判断、行動基準などのルール化
近年の異常気象は命にかかわるものであることを、一人ひとりが理解しなければなりません。災害発生時にどのような行動をとればよいかをすべての従業員にしっかり周知しておきましょう。
就業規則の決め方
就業規則において、出社する・出社しないを決める大きな指針になるのが「公共交通の状況」と「警報の発令状況」です。例えば、「始業時間の○時間前までに、住んでいる地域に暴風警報が出ている場合は休業し、テレワークにする」、あるいは「公共交通機関が早朝から運行を停止している場合は休業し、テレワークにする」というように決めておきます。また、オフィスにいるときに暴風警報が出たり、公共交通機関がストップしたりした場合にも、「速やかに帰宅してテレワークに切り替える」といった柔軟な対応策を決めておきます。
※3 BCP:Business Continuity Planの略。日本語では「事業継続計画」。テロ、災害、システム障害などの危機的状況下でも事業が継続できるよう戦略を明記したもの。
( 3 ) リスクマネジメントとしてのテレワーク
非常時に有効な働き方
テレワークは非常時や緊急時にも適した働き方です。期せずして、コロナ禍によって多くの方がそのことを実感されたでしょう。現在も、多くの企業が従来のオフィスワークとテレワークの両方を生かした「ハイブリッドワーク」を取り入れています。
リンク:これからの主流!?企業が進めるハイブリッドワークとは?メリットとデメリットを解説します! – SAXA-DX Navi | サクサグループ台風などの異常気象に対する備えとしても、テレワークは大変優れています。テレワークは、いわばオフィス機能を分散させている状態です。先ほども対策のところで触れたようにデータをクラウド上に保存しておけば、働く場所を問わずスムーズに活用できます。こうして、万が一オフィスが台風被害にあっても事業への影響を軽減させることができるのです。
テレワークならではの課題
ただし、テレワークには課題もあります。それをクリアにするためには、リモートでも快適に働ける環境整備が必要です。
〈コミュニケーション不足〉
テレワークの課題としてよく挙げられるのが、コミュニケーション不足になりがちだということです。それまでオフィスでは対面でできていた円滑なコミュニケーションが、なかなかできなくなるという悩みです。しかしこれは、ビジネスチャット(※4)などを適切に活用することで解消できます。
リンク:テレワークでコミュニケーション不足が起こる原因と対策は?成功事例を用いて解説 – SAXA-DX Navi | サクサグループ〈情報セキュリティ対策〉
もう一つテレワークの弱点として指摘されるのが、情報セキュリティ対策がそれだけ甘くなってしまうということです。そのための対策として、外部からの不正アクセスやウイルス侵入を防ぎ、また感染後のウイルス拡散や情報漏洩も防ぐなど、さまざまな機能をオール・イン・ワンで備えるUTM(※5)の導入は有効な対策の1つです。
更にVPN(※6)と組み合わせることで、テレワークでもオフィス同様のセキュリティ環境が実現できます。社内のIT資産がそのまま使えることはもちろん、UTM経由でのインターネット接続も可能になります。そして、サクサのUTMはオプションでVPN接続機能があります。
社内電話の見直しも必要
顧客対応の視点に立てば、社内電話を見直すことも大切です。顧客は、こちらの担当者がオフィス勤務であるかテレワークであるかにかかわらず、会社の固定電話にかけてくる場合が多いでしょう。その際、「○○は本日テレワークで不在にしております」と毎回誰かが応対していたのでは、顧客とのコミュニケーションが取りにくくなるだけでなく、ビジネスチャンスを逃すことにもなりかねません。
これを解消するには、家にいながらオフィス同様に本人が電話応対できるという環境を整えることが大切です。そこでおすすめなのが、スマートフォンと連携させることができる社内電話です。
サクサのボタン電話装置「PLATIAⅢ」は、使いやすさと性能性を兼ね備え、テレワークなど、ワークスタイルの変化にも柔軟に対応することができます。また、スマートフォンの内線アプリケーション「MLiner」を使用することで、ボタン電話装置と同じ感覚でスマートフォンを使用できます。
不測の事態にも柔軟な対応ができる会社に
私たちは先行き不透明な時代を生きています。あらゆるものが予測困難な様相を呈する現代は、VUCA時代(※7)と呼ばれます。その背景には、地球環境の変化が大きな要因としてあります。
猛威をふるう台風や豪雨、経験したことのない大雪、命にかかわるような酷暑、さらに新型コロナウイルス感染症拡大のようなパンデミック、あるいはインフルエンザの爆発的大流行といった不測の事態が、この先も起こらないとは言い切れません。だからこそ何かが起きてからでは遅いのです。
平時からテレワークができる環境をしっかり整えておきましょう。その投資は会社にとって決して無駄にはならないはずです。
※4 ビジネスチャット:業務において社内外の人と気軽にやりとりできるコミュニケーションツール。
※5 UTM:「Unified Threat
Management」の略。日本語では「統合脅威管理」。あらゆる機能を一台に搭載し、集中管理を行う。外部・内部からのさまざまな脅威に対して有効。
※6 VPN:「Virtual Private
Network」の略。日本語では「仮想専用線」。特定の人だけが利用できる、文字通りプライベートネットワーク。
※7 VUCA:Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の略。もともとは東西冷戦後の複雑化した世界情勢を指す言葉だが、近年はあらゆる社会情勢を指して使われる。
( 4 ) まとめ
今回は、台風などの異常気象に備えるにはどうすればよいか、従業員を守るために企業が取り組むべきことは何かについて解説してきました。これまで自然災害にあったことがないからと言って、これからも大丈夫という保証はどこにもありません。いざというときのリスクマネジメントに普段から意識的になり、実践しておくことが大切です。そのための一歩としてテレワークの導入が有効です。そしてその一環として、社内電話やUTMの見直しを行うこともおすすめします。サクサでは、今回ご紹介したテレワーク導入に必要な機器をはじめ、情報セキュリティ機器のご提案を通して、中堅・中小企業をサポートさせていただきます。ぜひ、お気軽にご相談ください。
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