【まとめて解説!】知っておきたいテレワーク導入から定着までのポイント(前編)

テレワークが普及してきているものの、実際に実施している企業はまだ半数程度と言われています。働き方改革の推進や人材確保の一環として、これからテレワークの導入や整備を考えている経営者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回は在宅勤務とテレワークの違いから、導入時の情報セキュリティ対策や導入後の社員のストレスケアにいたるまで、さまざまなポイントを紹介します。

今回のお悩み
テレワークを実施するうえで必要な、セキュリティ面や運用面などのさまざまな対策や注意点を改めて確認したい。

私が解説します!
テレワークを導入し定着するためには、自社や社員の状況に合わせた対策と運用が必要になります。前編ではテレワークの基本的な考え方をはじめ、マルウェアサイバー攻撃に備えた情報セキュリティ対策、さらには顧客対応のポイントについて解説します!

( 1 ) 在宅勤務とテレワークの違い

テレワークの定義

在宅勤務とは、企業に雇用されながらオフィスに出社することなく、自宅で仕事を行う業務形態を指します。では、在宅勤務とテレワークはどう違うのでしょうか。
そもそもテレワークは「Tele(離れて)」と「Work(仕事)」を組み合わせた造語であり、厚生労働省および総務省では「情報通信技術(ICT=Information and Communication Technology)を活用した時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方」と定義しています。「在宅勤務」はテレワークの一種で、このほかに「モバイルワーク」と「サテライトオフィス勤務」があります。

テレワークにおける働き方の区分

先に挙げた3つの働き方である「在宅勤務」「モバイルワーク」「サテライトオフィス勤務」について、それぞれの特徴を紹介します。

〈在宅勤務〉

在宅勤務は自宅を就業場所とする働き方で、完全にオフィスに出社しないケースや週に決まった日数のみ出勤するなど、企業や社員の状況に応じてさまざまです。

〈モバイルワーク〉

モバイルワークは、移動中の交通機関や駅の待合スペース、カフェ、ホテルなどで仕事を行います。移動や待機時間に業務が行えるため、オフィスに戻ることなく効率的です。

〈サテライトオフィス勤務〉

サテライトオフィスは、オフィスとは異なる場所に設置したワークスペースで就業する働き方です。自社やグループ企業で専用のスペースが設けられた「専用型」と、レンタルオフィスやシェアオフィスなどを利用する「共用型」があります。

参照:厚生労働省 総務省「テレワークとは テレワークの定義」

企業が取り組むべきテレワークの課題

コロナ禍に伴い、テレワークはある程度浸透していますが、業種や職種によって普及率は異なります。働き方改革の推進や企業活動の継続、また人材確保の面からもテレワークは企業にとって重要な取り組みといえるでしょう。
少子高齢化が進む現代では、労働人口の減少が社会問題になっています。特に中小企業にとって深刻な人手不足を補うためには、テレワークによる業務の効率化や生産性の向上が欠かせません。また、育児や介護と仕事を両立するには、テレワークを活用した柔軟な働き方が求められます。このような働き方を支える仕組みづくりは企業が取り組むべき課題であり、社員のモチベーションの低下や離職防止にも効果を発揮します。

*より詳しい内容は以下の記事でご紹介しています。

( 2 ) テレワークで注意すべき情報セキュリティ対策とは?

コロナ禍における感染症予防の観点から、テレワークを導入する企業の数は増えたものの、運用面での課題から導入に踏み切れていないという企業も少なくありません。ここでは、その最大の課題となる情報セキュリティ対策について解説します。

テレワークにおける情報セキュリティリスク

自宅などの社外で業務を行うテレワークは、従来の情報セキュリティ対策では対応が困難なリスクが増加します。テレワークにおける具体的なリスクは以下が挙げられます。

テレワークでは外部から社内システムにアクセスするため、社員のセキュリティに関する知識が求められます。また、ネットワークや情報機器のセキュリティ対策が不十分な場合にはさまざまなリスクが高まります。年々増加するサイバー攻撃は手口も巧妙化しており、ランサムウェア標的型攻撃、中小企業を攻撃の踏み台とするサプライチェーン攻撃など、対策が困難なものも多く、一層の対策が急務となっています。

テレワークに必要な情報セキュリティ対策とは

テレワークの推進を受け、総務省は「テレワークセキュリティガイドライン」を発表し、情報セキュリティ対策のポイント、経営者やシステム管理者など立場ごとの実施すべき対策を紹介しています。以下はセキュリティ対策のポイントです。

  • セキュリティ確保のためのルール設定
  • 情報セキュリティに関する必要な知識の習得
  • 環境に応じた情報セキュリティツールの利用
参照:総務省「テレワークセキュリティガイドライン(第3版)」

情報セキュリティの具体策

安全にテレワークを実施するために行うべき具体策を紹介します。

〈ルール設定と体制構築〉

先に述べたとおり、情報セキュリティに関するルール設定は必須です。社員に社外で仕事を行うリスクを認識させ、セキュリティに対する意識の向上とともに、業務の円滑化を図ります。また、万一事故が起きた場合に備え、迅速に対処できる体制を構築しておきましょう。

〈不正アクセス対策〉

社内システムや使用する端末への不正アクセスを防ぐためには、IDとパスワードに加え、生体認証などの多要素認証が有効です。また、通信を暗号化するVPN接続、ネットワークセキュリティ強化のためのファイアウォールやIPS/IDS、UTMなどセキュリティ機器の導入もリスク軽減に効果を発揮します。

〈マルウェア感染による情報漏洩対策〉

マルウェア感染による情報漏洩は会社に大きな被害をもたらします。セキュリティ対策ソフトを導入するとともに、使用するOSやソフトのアップデートを行います。重要な情報は定期的にバックアップをとっておき、サイバー攻撃による消失や暗号化された場合に備えましょう。

*より詳しい内容は以下の記事でご紹介しています。

( 3 ) オフィス不在時に電話応対を効率化するポイント

テレワークが進む中、オフィスにかかってくる電話への対応が、社員の負担になっているという現状があります。顧客からのさまざまな問い合わせに対応し、満足度を上げるにはどのような方法があるでしょうか。

電話による顧客対応の重要性

顧客からの電話は、問い合わせのほか、不具合の報告、苦情など多岐に渡ります。これらに適切に対応することは、会社の価値を高める重要なポイントです。

  • 顧客満足度の向上
  • 会社のイメージアップ
  • 新たな顧客の獲得

対応の良し悪しで、会社への印象は大きく変わります。素早い対応や的確な説明によって、顧客の信頼が得られるとともに満足度も高まります。同時に競合との差別化や自社のイメージアップにもつながるでしょう。また、問い合わせ内容を蓄積・検証し、ニーズの掘り起こしや新規顧客の獲得に役立てることもできます。

テレワーク時の顧客対応の課題

テレワーク時は社内の人員が減少します。電話をかけてきた顧客の担当者が不在の場合も少なくありません。このようなケースでは、電話に出た社員が対応したり、不在にしている担当者に連絡をとったりしなければならず、業務負担が増加するだけでなく、業務効率が低下します。
このほかにも、社員同士の状況把握が困難になり、適切な指示が行えないなどの課題が出てきます。時間的なロスやビジネスチャンスの喪失に加え、顧客からの信頼喪失という事態も起こりかねません。

顧客対応における効率化のポイント

先に述べたような課題を解決し、効率化を図るためのポイントは以下の3点です。

  • 電話転送による迅速な対応
  • 応対状況の可視化
  • 顧客情報の共有

顧客からの電話をリアルタイムに転送し、担当者につなぐことができればスムーズな対応が可能です。問い合わせ内容や回答の状況を共有することで、テレワーク中でも指示や進捗状況の把握が容易になります。さらに顧客の情報を共有して一元管理しておけば、担当者が不在でも迅速に対応でき、顧客満足度のアップが図れます。

ビジネスを効率化するツール活用

オフィスの電話と社員のスマートフォンを連携して社内外で操作ができたり、IPネットワークで本社と支社を接続して内線通話を可能にしたりといった機能を有した便利なボタン電話装置を導入することで、業務効率化と顧客満足度を促進できます。テレワーク実施時の課題の一つである電話対応を、ツールを活用することでスマートに解決することが可能となります。

*より詳しい内容は以下の記事でご紹介しています。

ここまで、情報セキュリティ対策やテレワーク時の電話応対の効率化など、テレワーク導入のためのポイントを解説しました。後半では、生産性を高めるために必要なこと、社内コミュニケーションの活性化、テレワークや在宅勤務におけるメンタルヘルスケアについて解説します。ぜひ後編もご覧ください。

リンク:【まとめて解説!】知っておきたいテレワーク導入から定着までのポイント(後編)はこちら

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